なぜ私は、年収の話をしないキャリアコーチになったのか
お金で測れない、人生の豊かさ
「今度の転職で、年収はどれくらいアップしそうですか?」
キャリア相談の場面でよく聞かれる質問です。でも私は、いつも少し困ってしまいます。なぜなら、その方が本当に求めているものは、おそらく年収の数字ではないからです。
その奥にあるのは、「自分の価値を認められたい」という願いかもしれません。「安心できる未来を手に入れたい」という不安かもしれません。
コロナ禍を境に、私たちの働き方は根本的に変わりました。リモートワークが普及し、通勤時間がなくなったことで見えてきた家族との大切な時間。そして何より、「本当に大切なもの」について深く考える時間を得たこと。
Z世代やミレニアル世代の価値観は、私たち上の世代とは明らかに違います。彼らは年収よりもワークライフバランスを重視し、昭和的な「年収・役職による序列社会」に疑問を持ち、多様な働き方を当たり前のものとして受け入れています。
従来のキャリアコーチングでは年収アップが重視されがちでしたが、果たしてそれは本当に正しいのでしょうか。持続可能性が重視される時代において、私たちはもう一度「豊かさ」について考え直す必要があるのではないでしょうか。

年収1500万円の憂鬱と、年収380万円の充実
Aさん(35歳・仮名)は、外資系金融機関で働く敏腕アナリストでした。年収は1500万円を超え、周囲からは「成功者」と呼ばれていました。でも、初回のセッションで彼が語った言葉を、私は今でも忘れることができません。
「毎朝、会社に向かう電車の中で、このまま電車が止まってしまえばいいのにと思うんです。数字に追われる毎日で、自分が何のために働いているのかわからなくなりました」
一方、Bさん(28歳・仮名)は、環境保護NPOで働いています。年収は380万円と決して高くありませんが、彼女の表情は常に輝いています。
「給料は決して多くないけれど、自分の仕事が地球の未来に少しでも貢献できていると思うと、毎日がとても充実しています」
この二人の違いは、外的評価(年収・役職)と内的満足(納得感)の根本的な違いです。自分が納得して働いているかどうかが、キャリアの豊かさを決める最も重要な要素なのです。
もちろん、興味や関心があることであっても、多少の「ロマンとそろばん」は必要です。現実的な生活基盤も大切にしながら、その上で自分軸——つまり、ご自身が心から納得して働けているかどうかを何より大切にする。このバランスこそが、持続可能なキャリアを築く鍵となります。
お金で測れない、本当の豊かさ
「豊かさ」を年収だけで測る時代は、もう終わりを迎えているのかもしれません。
時間の豊かさ—————家族や友人と過ごす穏やかな時間、自分自身と向き合う静寂な時間。人間関係の豊かさ—————職場での信頼関係、お互いを支え合える仲間の存在。成長の豊かさ—————新しいことを学ぶ喜び、困難を乗り越えることで培われる強さ。社会貢献の豊かさ—————自分の仕事が誰かの役に立っている実感、社会に良い影響を与えているという誇り。自己実現の豊かさ—————本当の自分らしさを仕事で表現できる喜び、魂が震えるような使命感。
これらの豊かさは、決して年収の数字では測ることができません。でも、人生を振り返った時に「本当に意味があった」と感じられるのは、きっとこうした豊かさなのではないでしょうか。

キャリアコーチングの本来の目的
私が年収の話をしないキャリアコーチになったのは、数字に惑わされることで見失われがちな、もっと大切なものがあると感じているからです。
その人らしさ、やりがい、人生の意味—————これらは年収の高低とは全く関係のないところに存在しています。本当に必要なのは年収アップの戦略ではなく、自分自身の価値観を見つめ直すことなのです。
私たちのキャリアコーチングでは、まず価値観の整理から始めます。「あなたにとって、本当に大切なものは何ですか?」「10年後、どんな自分でいたいですか?どこに住んで、どこにいたいですか?」
こうした問いかけを通して見えてくるのは、その方だけの美しい価値観です。社会や家族、育った環境から受け継いだ価値観を一度手放し、本当に自分が納得する職業人生を歩む時、それは必ず幸せなライフスタイルへと繋がります。逆に、他者の期待や世間の常識に合わせて選んだキャリアは、いずれ後悔が募る人生となってしまうのです。
真のキャリアコーチングとは、その人らしい働き方の発見なのです。

SNS時代の年収自慢に疲れた心
SNSを開けば、華やかな年収自慢や昇進報告が次々と目に飛び込んできます。「転職で年収200万円アップ!」「ついに役員に昇格!」そんな投稿を見るたび、なんとなく自分の歩みが遅く感じられ、焦りにも似た感情が心に宿る。
でも、その投稿の向こう側にいる人の本当の心境は、どうなのでしょうか。数字や肩書きの裏側にある、日々の充実感や心の平安は、果たして伴っているのでしょうか。
経済格差が拡大する現代において、年収競争に参加することは、いつまでも満たされることのない欲望の迷路に迷い込むことかもしれません。多様性を認める社会では、多様なキャリアの価値が認められるべきです。年収1000万円の人も、年収400万円の人も、それぞれの価値観に基づいて選択したキャリアであれば、等しく尊重されるべきなのです。
年収競争からの、静かな卒業
私たちCalmeeが他のキャリアコーチングサービスと決定的に違うのは、年収を成功指標にしないということです。その人らしさを最優先し、長期的な人生満足度こそが、私たちが目指すゴールです。
年収300万円でも、毎朝目覚めるのが楽しみで、仕事に向かう足取りが軽やか。そんなキャリアと、年収800万円だけれど毎日が重く、週末になると憂鬱になるキャリア。あなたなら、どちらを選びますか?
このコラムを読んでくださっているあなたも、もしかすると年収やソーシャルステータスのことで悩んだりしたことがあるのではないでしょうか。でも、そんな自分を責める必要はありません。私たちは、年収で価値を測る社会の中で生きているのですから、そう感じるのは自然なことです。
ただ、もし少し疲れてしまったなら—————年収競争から、静かに卒業してみませんか。
結果的に良いキャリアコーチングを受けると、年収以上の満足を得られます。なぜなら、自分軸がしっかりと定まった状態で選択したキャリアは、持続可能で深い充実感をもたらすからです。

あなたらしい豊かさを見つける時間
年収が低くても、あなたにはそれ以上の価値が既にあります。自分らしい働き方で、十分なのです。お金以外の豊かさが、この世界にはたくさんあります。
自分軸=納得できる人生を歩んでいる人は、不思議と収入も成果も少しずつついてくるものです。なぜなら、心が整った状態で選択した仕事には、自然と情熱と集中力が宿るからです。
そんな安心感と希望を、私たちCalmeeは提供したいと思っています。年収の話をしないキャリアコーチングが、どれほど心地よく、どれほど深い変化をもたらすか—————ぜひ一度、体験してみてください。
心が整うと、キャリアが自然に動き出します。答えを急がず、静かに自分の内なる声に耳を傾けてみてください。傷ついた体験も含めて、あなたのすべてがキャリアの財産になります。そして今度は、年収というものさしから自由になった時に見える、本当の豊かさを発見する番です。
あなたの人生に、年収では測れない豊かさが溢れることを、心から願っています。
Calmee(カーミー)について:
心を整えることから始まるキャリアコーチングサービスです。転職やモヤモヤの整理、自分らしい働き方について、一緒に考えさせていただきます。詳しくは https://calmee.jp をご覧ください。
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