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コラム

なぜ私は答えを待つキャリアコーチになったのか|Calmee(カーミー)

なぜ私は、答えを待つキャリアコーチになったのか

その人の中で静かに育つものを信じる理由

「答えはすぐに欲しいですか?」——初回セッションで、私はよくこの質問をします。多くの方が戸惑われます。キャリアコーチに相談に来たのに、なぜすぐに答えをもらえないのか、と。

でも私は信じています。本当に人生を変える答えは、静寂の中でしか育たないということを。そして、その静寂を守ることこそが、私の最も大切な仕事だということを。

 

「すぐに答えを出す」文化への深い違和感

私たちは、答えを急かされる時代に生きています。SNSでは即レスが当たり前となり、ビジネスの現場では効率性とスピードが何よりも重視される。キャリア相談においても、「3つのステップで転職成功」「5つの解決法で人生激変」といった速攻性を謳うサービスが溢れています。

本当に人が変わるのは、そんなに簡単なことなのでしょうか。もし画一的な手法で誰もが人生を好転させることができるなら、この世の中にこれほど多くの人が深い悩みを抱え続けることはないはずです。

一人ひとりの内面世界は、想像以上に深く、繊細で、そして美しい個別性に満ちています。だからこそ、私は型にはめるアプローチではなく、その人だけが持つ固有のリズムと感性を大切にしたいのです。真のキャリア構築とは、その方のエネルギーを最大化することから始まるのですから。

 

川沿いをバックを持ちながら笑顔を見せて歩く女性社員

心の奥で静かに起こっていること

あるクライアントのAさん(30代女性・仮名)のことを思い出します。彼女は初回から3ヶ月間、毎回同じような質問を繰り返していました。

「今の会社を辞めるべきでしょうか」 「転職した方がいいと思いますか」

多くのキャリアコーチなら、具体的なアドバイスを提案するかもしれません。でも私は、答えを提示することはしませんでした。代わりに、毎回こう問いかけました。 「今、どんなことを感じていらっしゃいますか?」 「この瞬間、体のどこかに感覚はありますか?」

Aさんは最初、この質問に困惑し、時には苛立ちを見せることもありました。しかし、4ヶ月目のセッション。いつものように静寂が流れた時、突然Aさんの目に涙が溢れました。

「本当は……絵を描きたかった。子どもの頃からずっと。でも、安定した仕事に就くのが正しいと思って、ずっと我慢してきました」

その瞬間の美しさを、私は今でも忘れることができません。彼女の表情が、まるで長い冬を越えた花のように輝いて見えたのです。そこから先のAさんの変化は自発的で自然なものでした。

誰かに背中を押されるのではなく、内側から湧き上がる力で、少しずつUIUXデザインの勉強を始め、最終的には念願のWEBデザイナーへの転職を果たしました。

「待つ」と「進む」の絶妙なバランス

ただし、私は単純に「待つ」だけのキャリアコーチではありません。クライアントの心に静寂を提供しながらも、豊富な経験から生まれた洞察力に基づいて、適切なタイミングで個人的なフィードバックをお返しすることも大切にしています。

例えば、クライアントが「自分には特別な才能がない」と話された時、私はその方自身では気づいていないセンスや希望を言語化してお返しします。そして、その方が夢中になれる業界や職種を見つけた時、私は現実的に「勝てる」戦略も一緒に考えます。

Aさんの例でいうと、「絵を描きたい」という内なる声が聞こえた後、私たちは具体的な市場分析から始めました。UIUXデザインの需要、求められるスキルセット、そして彼女の現在の業務経験がどう活かせるかを徹底検証。副業からスタートして実績を積み重ね、最終的に”WEBデザイナー”として転職を成功させることができました。

「好きなことを仕事にする」だけでは、残念ながら現実は甘くありません。その業界で本当に活躍するためには、マーケティング的な視点も不可欠です。クライアントの潜在能力を「仕事」という形に昇華させるための、実践的な後押しを提供することも、Calmeeの大切な強みの一つなのです。

 

コーヒーを持ちながら笑顔でオフィスを後にする自分らしいキャリアを目指す女性。

自然界が教えてくれる「待つ」の智慧

桜の花を思い浮かべてください。美しい花を愛でる春の期間は短いものですが、その花が咲くまでには、長い冬の静寂の時間があります。雪に覆われ、一見何も起こっていないように見える期間にこそ、樹木は内側で大きな準備を重ねているのです。

蝶もまた同じです。美しく舞い踊る姿の前には、蛹の中での静かな変容の時間があります。外から見れば動いていないように見えるその期間にこそ、劇的な変化が起こっているのです。

人の心も、きっと同じなのでしょう。表面的には変化が見えない時期にこそ、内側では深い再編成が起こっている。そして、その過程を急かすことなく、静かに見守ることこそが、真の支援なのだと思います。

 

私がクライアントの中に見ているもの

セッションの中で、私はいつもクライアントの中にあるものを見つめています。それは、すでにそこに存在している答えの種。社会的な期待や世間体によって覆い隠されてしまった、その方だけの本音。時間をかけてでも引き出したい「その人らしさ」です。

キャリアコーチングをしていると、多くの方が生育環境や周囲の期待によって、本当の自分に静かに蓋をして生きていらっしゃることを感じます。「親が望む道だから」「安定しているから」「いまの私にちょうどいい仕事だから」。そうした理由で仕事を選び、いつの間にか自分が本当に何を求めているのかが見えなくなってしまう方が多くいらっしゃいます。でも、その蓋の下には、必ずその方だけの美しい願いが眠っているのです。

「転職したい」という言葉の奥にある本当の願い。「今の会社が嫌だ」という感情の向こう側にある価値観。「やりたいことがわからない」という迷いの中に隠されている、小さくても確かな興味関心。

これらはすべて、すでにその方の中に存在しています。私の役割は、それを「発見」したり「植え付けたり」することではなく、ただ静かに寄り添いながら、その芽吹きを待つこと。そして、適切なタイミングで、それを言語化してお返しすることなのです。

 

オフィスの近くを歩いてキャリアを考える女性社員

あなたの中で静かに育っているもの

このコラムを読んでくださっているあなたの中にも、きっと静かに育っているものがあるはずです。

それは、まだ言葉にならない漠然とした違和感かもしれません。心のどこかで感じている「もっと別の生き方があるのではないか」という予感かもしれません。転職を考えているけれど決断できない迷い、やりたい仕事が見つからないもどかしさかもしれません。

どれも、とても大切なものです。そして、それらはあなた自身のペースで育っていくものです。急がなくてもいい。焦らなくてもいい。周りの声に惑わされる必要もありません。

 

Calmeeが提供したい価値

私たちCalmee(カーミー)は、そんな静寂を守る場所でありたいと思っています。

答えを急かさない、安心できる空間。あなたのペースで歩める伴走者。そして、静かに育つものを一緒に見守る時間。これが私たちの考えるキャリアコーチングです。

もちろん、必要な時には適切なフィードバックもお返しします。あなたの中にある可能性を言語化し、現実的な選択肢についても一緒に考えます。でもそれらはすべて、あなた自身の内なる声が聞こえるようになった上でのことです。

なぜなら、心が整った時にこそ、キャリアは自然に動き出すからです。そして、その変化は表面的ではない、深いところからの本物の変化となる。ちょっとやそっとのことでは揺らがない、真の強さを宿した変化となるのです。

 

オフィスで同僚と笑顔で話す女性社員

あなたの中で静かに育っているものを信じて

答えを急かさない。型にはめない。人間がすべて違うように、その人だけが持つリズムを大切にする。そして、内側から自然に湧き上がる力を信じて待つ。これが、私たちCalmee(カーミー)の変わらない姿勢です。

どんなに世の中が効率性を求めても、どんなに周りが「早く決めろ」と急かしても、あなたの人生のペースはあなたが決めるものです。静寂の中で育つものには、誰にも邪魔されることのない美しさがあります。

少しでもいいので、自分の心に静かに向き合う時間を持ってみてください。答えを探そうとするのではなく、ただそっと、今の自分の気持ちに耳を傾けてみる。それだけで心に癒しが生まれ、本来の自分と繋がり、望んでいるキャリアが自然と明確化していきます。

あなたの中で静かに育っているものを、私も一緒に見守らせていただければと思います。

その芽吹きの瞬間まで、ずっと。


Calmee(カーミー)について
心を整えることから始まるキャリアコーチングサービスです。転職やモヤモヤの整理、自分らしい働き方について、一緒に考えさせていただきます。詳しくは https://calmee.jp をご覧ください。

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